ミラン・トドロヴィッチ / ゾーン・オブ・ザ・デッド

 もう10年くらい前のゾンビ映画で、大学生くらいの頃に観ようと思ってずっと放置していた。何故かゲオで見かけて急に観ようという気になって借りてきた。

 さすがにもう古めの低予算映画なのでテンポが悪く、エンジンがかかるまで30分くらい掛かることは確かなのだが、物語が動き出すと一気に面白くなってわりと普通に見入ってしまった。昨今のハイテンションなゾンビ映画に比べればひたすらスローテンポで、エロ要素てんこ盛りみたいなチャラついた感のない(女性はみんな美人だけど、露出とかは全くない)、ひたすら硬派なゾンビ映画ではあったけど、非常になんというか味わい深くて思ったよりも全然よかった。なによりもケン・フォリーを出演させていたり台詞を引用したり、ロメロの原作に対するオマージュと愛情に溢れており大変に微笑ましい。

 さすがに最近のゾンビ映画に慣れてるとちょっとキツイような気がするけど、これ以前の年代の低予算ホラーなんかを抵抗なく観られるなら今でもそれなりに楽しんで観られるのではなかろうか。

 ……と、ここまで適当に調べずに書いたのだが、実際にはザック・スナイダーの『ドーン・オブ・ザ・デッド』よりも5年くらい後の映画であった。それでこの感じか……うーん。

 まあ、同じような金額(あるいはもっと安い金額)で良質のエンターテインメントが溢れまくっている現在、わざわざこんな映画を観る必要があるのかと言われればまったくないだろうとは思うけれども、レンタルでしょうもないホラーばかり漁っている人間であれば、捨て置くには少し惜しい映画だと思う。

(2010年 トランスフォーマー ★★★☆☆)