ランベルト・バーヴァ / ザ・トーチャー 拷問人

 僕が大学生くらいの頃にホラー秘宝というキングレコードのホラー映画専門レーベルがあって(まだあるっぽい)、古いカルト映画や低予算ホラー映画を定期的にリリースしていたのだが、その頃に観ようと思いつつ放置した一本。

 口から猿轡を吐きだし磔にされたような格好の女性がデカ写しにされ、おどろおどろしいフォントで『ザ・トーチャー 拷問人』というストレートなタイトルが踊るパッケージが尋常でないいかがわしさを醸しており、当時なぜかAmazonでのセル版の取り扱いがなかった(現在別のところからリリースされているものは普通に売られているようだが)ことも拍車をかけて「どれだけ倫理的にまずい映画なんだ」と興味津々だったのだが、いつの間にかレンタルビデオ屋から姿を消してしまいまあいいかと忘れ去ってしまった。

 最近ゲオで見かけたので今更感を覚えつつなんとなく観たのだが、パッケージのいかがわしさはどこへやらという感じのユルい雰囲気で、コメンタリーでも指摘されていた通り一抹の懐かしさの漂う「ホステル風のジャーロ」みたいな映画で、この種のトーチャーポルノにしてはあまりにも控えめなので、むしろ健康的というか、牧歌的ですらあった(言い過ぎか)。これに比べればひたすらピタゴラスイッチ的な殺人ショーに趣向を凝らしつづけるSAWの方がよほど病んでいる。

 まあ今さら観るようなもんでもなかったが、長いこと抱いていた疑問は氷解したのであった。

(2005年 キングレコード ★★★☆☆)