2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

タネリ・ムストネン / サマー・ヴェンデッタ

暇つぶしに借りてきて観た。ネットのレビューはかなり酷評に近いものが多いが、そうした評価を下したくなる気持ちはわからないでもない。 二転三転する展開は観客の予想を裏切ってやろうという意図が明らかで(にも関わらずトレイラーの段階でネタバレしてし…

鏡リュウジ / 占星術の文化誌

現代の枠組みにおいて「オカルト」として退けられがちな占星術は、中世以前では一つの学問あるいは教養として科学と分かちがたく結びついていた。文学・美術・音楽・医術・心理学という諸分野において、それがどのような影響を与えてきたのかということにつ…

岩井洋 / 記憶術のススメ 近代日本と立身出世

明治二十年代ごろ、催眠術・心霊術・記憶術を始めとする<術>ブームがあった。それは資本主義が輸入され、日本が急速に近代化していく過程において、人々がより経済的な価値観を重視し、時間を細かく断裁することで効率的な時間配分を獲得しようとする思考…

ジョゼフ・デスアール, アニク・デスアール / 透視術——予言と占いの歴史

奇術の演出論的な興味から読んだ。あとがきによれば著者のジョゼフ・デスアールはそもそもが本業の"透視術師"なので、その実践に基づいたオカルト的な(あるいは超心理学的な)語彙で溢れてはいるものの、透視術(占いも含む)のカテゴリーや実際の事例など…

大塚英志 / 殺生と戦争の民俗学 柳田國男と千葉徳爾

図書館でパラパラとめくりながら「殺生の快楽」という物騒な見出しが目に飛び込んできて、大塚英志にこの手の話を書かせたら面白いに決まってるよなと思いながら手に取った本。 柳田國男の弟子たちの中でも最も「部外者」に近かった千葉徳爾(本書によれば大…