タネリ・ムストネン / サマー・ヴェンデッタ

 暇つぶしに借りてきて観た。ネットのレビューはかなり酷評に近いものが多いが、そうした評価を下したくなる気持ちはわからないでもない。

 二転三転する展開は観客の予想を裏切ってやろうという意図が明らかで(にも関わらずトレイラーの段階でネタバレしてしまうのは一体どういうつもりなのか全くもって理解に苦しむ)、いったいどうなるのだろうと観客を期待させもするが、その大落ちの「どんでん返し」にあまりにも安直な"あれ"をやってしまったのが我慢ならなかったのだろう。

 パッケージ裏の「ニューライン」という印字を見ていささかハードルが低くなっている感はあるけれども、個人的にはなかなか面白かったのも確か。一時間半に満たないというのも時間的にちょうどよく、主演ふたりの巨乳に対する執着を全く隠さない小憎らしいサービスぶりもその理由の一つではある(なぜ捕まえてわざわざ水着姿にする必要がある?)。ホラー映画の女優の多くは映画が進むにつれて薄着になり、最終的にはTシャツ姿になってオッパイを強調しがちであるが、この映画も例外でなく中盤からずっとボインボインしている。というかそこにしか目がいかねえ。

 今となってはもう珍しくもなくなってしまったが、ウェス・クレイヴンのようなホラーというジャンルに自己言及的な「裏切り」ではなく、どちらかといえばジャンルそのものを横断するような「裏切り」に近い。ホラーを観ていたと思ったら別ジャンルの映画だった、という方がおそらくこの映画を正しく言い表している。

 見終えてしばらくのあいだ大落ちに既視感を覚えていたのだが、ようやくその正体が判った。『ディセント』だ。

(アルバトロス 2017年 ★★★★☆)