アダム・ウィンガード / サプライズ

 Netflixでマイリストしてあったのでなんとなく観た。個人的にはなかなかお気に入りの映画。

 『13日の金曜日』シリーズでもっとも好きな作品が『13日の金曜日 PART 7 / 新しい恐怖』で、これはファイナル・ガールである超能力少女にジェイソンが手も足も出ずにボコボコにされ、緊迫感との過剰なコントラストでじわじわと笑いが生まれてしまうタイプのホラー映画なのだが、この『サプライズ』も近い雰囲気があるなと思いながら観ていた。

 中盤まではアニマルマスク集団に家族が次々と殺されていき、ホワイダニット(何のために?)を軸に話が進んで行くのだが、物語が進むにつれてヒロインがかつてサバイバル・キャンプで様々な訓練を施されていたという過去が明らかになり、最終的にアニマルマスク達はプロの殺し屋集団(もしかすると烏合の衆だったのかも)でありながら、ヒロインたった一人にミートハンマーや手製のトラップでバッタバッタと倒され、アッサリ全滅させられてしまうのであった。

 そこまでならご都合主義的な凡作スプラッターといった雰囲気で記憶にも残らなかったと思うのだが、この作品の秀逸なところはファイナル・ガールの"その後"を描いたところにあって、その結末によってこの映画が実はそもそもコメディであったことが明かされる(『サプライズ』)ことになる。ヒロインが異常に強いのは都合でもなんでもなく、この映画がコメディとして撮られていたからだったのだ。

 個人的には邦題が悪いとはそんなに思わないが、原題の『You're Next』の方が皮肉は利いている。

 ミキサーでアレをアレするシーンはオールドスクールスプラッターの匂いが感じられて非常によかった(トロマの『マザーズデー』を思い出したよ)。なんとなく80年代の映画とかでああいう妙に凝った殺し方って出てきそうな感じ。というより何かの映画に対するリスペクトなのだろうか?

 大学生の頃、ホラー映画をレンタルビデオ屋で借りて観ていると、よくこういうメタ的な作品に当たった気がする。ジョン・ギャラガーの『ザ・フィースト』とかね。なんとなくその頃を思い出して懐かしい気分になった。

Netflix 2013年 ★★★★☆)